会社の価値はどうやって決まるか?(1)
M&Aにおける会社の価値はどのようにして決まるのでしょうか? まずは会社の価値を議論するときに使われる三つの価値を理解しましょう。
(1)事業価値 対象事業が将来にわたって生み出す経済的価値の合計のことで、算定方法としては(将来のキャッシュフロー)の総和を割引現在価値で表したものです。DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法によって算出されます。
(2)企業価値
事業価値に非事業用資産(遊休不動産や余剰現預金など)を加えたものです。
ここで現預金について注意しなければならないのは、現預金の内、事業の運転資金として必要なものについては、事業資産として扱われるということです。(実際のM&Aの交渉ではどこまでが必要運転資金でどこからが余剰現預金であるか、ということが良く議論になります。)
(3)株式価値
企業価値から有利子負債を差し引いたものです。
したがって、株式で会社を譲渡する際の対価である株式価額は、以下の算式で決まります。
株式価値= 事業価値+非事業用資産-有利子負債
株式価値は、会社が将来生み出す経済価値(=事業価値)に事業で使われていない余剰現預金などの非常業資産を加算し、有利子負債を減額して算出されるということです。
(例)毎年100万円のキャッシュを生み出す会社の株式価値はいくらでしょうか?
・将来キャッシュフローの割引率は10%とします。
・非事業用の不動産が500万円あるものとします。
・有利子負債は300万円とします。
まず事業価値をDCF法で計算します。毎年100万円のキャッシュフローが永続すると想定し、その総和を10%の割引率で現在の価値(=将来受け取ることができる現金を今まとめて受け取ったらいくらになるか)に割り戻すと以下の算式で1,000万円になります。(DCF法の詳細については次回のブログで説明します。)
事業価値=100万円/10%=1,000万円
株式価値=1,000万円+500万円-300万円=1,200万円ということになります。