• Tommy Nagayama

グローバル経営(実践編8)グローバル経営管理規程をつくる


 グローバル経営管理の目的は、適切な統制を維持しつつ、同時に海外子会社の経営幹部、従業員への適切な権限委譲を行い、自律的な経営を行うことです。本社から海外子会社への権限移譲が明確になっていないと放任経営になり、一方で、箸の上げ下げまで口をだす経営(マイクロマネジメント)では現地幹部のモチーベションが上がらないことになります。これでは事業の成長も業績の向上も期待できません。統制と権限委譲のバランスをどうとっていくのかという点は、グローバル経営管理の根幹をなすものです。

グローバル経営管理規程で明確化すべきもの

前回のブログにも書きましたが、グローバル経営管理規程の作成にあたって、まずは、規程に織り込む内容とその判断基準を検討します。

 国内で使用している稟議規程を英訳しただけでは不十分です。日本の多くの企業で作成している稟議規程は主に経費や設備投資の決裁プロセス、人事事項(組織変更、昇進・人事異動など)や財務事項(資金調達)などの管理事項について規定しています。一方で、商談管理(受注・契約の可否判断)、マーケティング(ブランド戦略、戦略提携など)や調達・生産・開発計画などの事業運営に関わる部分は、管理部門では扱いきれないので、担当部門が別箇に管理しているのが実情だと思います。国内のみの事業展開であれば、これで十分かもしれませんが、海外子会社が販売、製造、開発などの機能を担っている場合には、その事業活動に応じて、権限委譲のレベルを決めていく必要があります。

全社横断的な活動として位置づける

 したがって、本社の稟議規程取扱い部門(経営企画、管理部、総務部といった部署)だけでは、適切なグローバル経営管理規程を作成することは困難です。グローバル経営管理規程の作成・運用を全社横断的なプロジェクトと位置付け、部門横断的なチームで対応する必要があります。その上で、まずは、自社のグローバルなビジネスモデル、バリューチェーンを描き、その中から経営に重大な影響を与える経営判断項目を抽出していくと良いでしょう。販売会社であれば商談応札や契約締結などの活動、製造会社であれば、設備投資や生産計画など重要な経営判断を伴う活動を抽出していきます。また、会社の管理機能として、事業戦略・事業計画、組織・人事、会計・資金調達などの基本機能毎に重要な経営判断を抽出していきます。

個々の規程内容を詰める

 グローバル経営管理規程に含めるべき内容が固まったら、それぞれの項目について、誰がどこまでの決裁権限をもつのか、どのようなプロセス(手順で)最終決裁を行うのか、その判断基準は何か、といったことをできる限り文書化しておくことが必要です。

グローバル経営は何故うまく行かないのか(ガバナンス)でも触れましたが、日本は世界の中でもっともハイコンテクストな文化をもっていますので、日本人の間で通じるからといって文書化を怠っては、グローバルな経営管理規程としては機能しないということです。できれば海外子会社の経営幹部にも参加してもらい、誤解を生む内容がないかといった点を事前に検討しましょう。

プロセスをつくりこむ

 プロセスの文書化も重要です。「本件は社長決裁」と書いただけでは、多額の投資を行うのにもかかわらず経理部での予算チェックや資金調達可否も確認せず、現地代表者が直接、社長にハンコをもらいに行く、などということも、冗談ではなく実際にあり得ます。規程作成者は一旦、頭の中をローコンテクストに切り替えて、一つ一つ手順を設計して行くことが求められます。

 手順と同様に重要なのが、誰がこのプロセスを回すのか、ということです。本社側でグローバル経営管理規程の作成、更改を行ったり、実際の承認案件がでてきたときの窓口となる部署や人を事前に決めておきましょう。

ゴールはどこか?

海外事業の規模が大きくなったので、とりあえずグローバルな権限委譲規程を作成する、といった対応は、応急処置としては必要です。一方で、自社の事業をどのような形でグローバルに展開し、その組織運営をどのように行うのかといった、グローバル戦略をもたないと、会社が目指す方向と実際の事業運営に齟齬が生じることになります。

 この意味では、グローバル経営管理規程の作成は、グローバル事業戦略を進めるための第一歩であり、グローバル事業や組織の進化に合わせて、適宜見直しを行っていくことが重要です。

(参考ブログ)グローバル経営(実践編5)グローバル戦略と組織

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