• Tommy Nagayama

会社を高く売るには(1)


 親族内で事業を承継する場合には、会社の株式は贈与あるいは遺贈という形で後継者へ譲渡されるため、株式の評価は贈与税や相続税の課税価格の算定のためのものです。税務上の株式の評価方法は国税庁が定める方式で決まっており、会社規模に応じて、会社の利益、純資産、配当などをもとに算定されます。

 一方で、第三者へM&Aによって株式を譲渡する場合の譲渡価額は、売り手と買い手との間の交渉で決まります。第三者との取引においては、理論上はインカムアプローチ、コスト・アプローチ、マーケット・アプローチといった代表的な算定方法があり、通常はこれらの方式から、複数の方法で算定した上で、買い手側は価格の目途をつけます。

 但し、これはあくまで買い手の希望価格であり、実際には、交渉によって双方が合意できる落としどころを探ることになります。

 それでは、親族外の事業承継を行う経営者はどのようにして、この価格をできるだけ引き上げることができるのでしょうか?

 ポイントは、3点あります。

(1)売却前に会社の磨き上げを行い、価値を高める

(2)複数の買い手候補にあたってみる

(3)良い専門家にアドバイスをもらう

そして、これらの3つのポイントを外さないためにも、「早めに準備する」ということが重要になります。

親族外承継には後継者育成の時間が必要なように、親族外承継にも相応の準備のための時間が必要です。

(1)売却前に会社の磨き上げを行い、価値を高める

 会社を第三者に引き継いでもらうためには、会社の目に見える資産だけではなく、顧客との信頼関係、従業員のもつノウハウ、熟練した技術技能、組織を運営し、利益を出すための仕組みや管理手法などの無形の資産(知的資産)を引き継ぐ必要があります。知的資産が承継されてはじめて、経営が承継されたことになります。したがって、これらの知的資産が見える形で整備され、将来の利益を生み出す仕組みが買い手候補にとっても納得の行くものであれば、買い手にとっての価値は高いものとなります。  逆に、株主や経営者が交代すると、顧客や従業員が流出するリスクをかかえていたり、会社のビジネスを回す仕組みが経営者個人に過度に依存しているような場合には、そもそも第三者への承継が難しい会社といえます。

(2)複数の買い手候補にあたってみる

 よほど急いで第三者へ譲渡する理由がない限り、複数の買い手候補にあたってみるべきでしょう。魅力ある事業であれば、複数候補が興味を示し、入札によって譲渡価格やその他の条件を決めることも検討可能です。一方で、他に買い手候補のいない相対取引では、買い手の交渉力が増しますので、思うような条件で譲渡することができない場合もあります。事業を引き継ぐ相手との相性や経営に対する考え方が合っているかどうかという点もありますので、必ずしも入札で高く売れれば良い、という訳ではありませんが、できるだけ価値を高めて引退後の資金を確保したい、ということであればM&Aアドバイザー等とも相談してみるのが良いでしょう。

(3)良い専門家にアドバイスをもらう

 会社の価値を高めるための磨き上げには、専門家によりセラーズ・デューディリジェンスを行って、事前に自社の強みや弱みを整理し、弱い部分については、事前に磨き上げを行っておくことが重要です。外部の専門家(経営コンサル、M&Aアドバイザーなど)にセラーズ・デューディリジェンス(売り手による事前調査)を依頼して、外部の視点で公平な分析、アドバイスをもらうのも一案です。

 また、買い手候補の選定や交渉の進め方などについても経験のあるアドバイザーに助言をもらい、自社の実態に即した交渉戦略を描きましょう。最近はやりのシリアル・アントレプレナー(次々に起業しては、売却して行く企業家)でもない限り、多くの経営者にとって会社の譲渡は初めての経験であり、手続き等に不慣れなことは当然です。このために外部専門家を最大限有効に活用しましょう

#事業承継 #MA #中小企業診断士

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