• Tommy Nagayama

親族外承継の手法と課題


 380万社の中小企業経営者のうち、後継者がいない企業が3分の1程度も存在するということをこのブログでも触れました。親族内での事業承継ができない場合、誰に承継するのかという点が重要になります。3つの切り口から考えてみましょう。

(1)従業員

(2)外部から経営者を雇い入れ

(3)株式を第三者へ譲渡(M&A)

(1)従業員承継

 長年、経営者と一緒に仕事をし、会社の経営理念や業務内容を熟知し、人望・人脈もある役職員が会社の経営を引き継いでくれることができれば、有力な選択肢となり得ます。一方で、従業員は会社の事業を熟知しているとは言っても、会社の全事業の責任者として仕事を経験したわけではありませんので、経営者としての教育を行うとともに、顧客人脈の形成や従業員との信頼関係構築など事業承継のための事前の環境整備が必要です。

 この点に加えて、ボトルネックとなるのが、資金の調達です。経営者は引退後の生活資金の確保を考えると、会社株式の譲渡によって一定レベルの現金を確保したいと考えるでしょうから、資金力のない従業員が会社の株式を譲り受けるには相当高いハードルがあります。事業承継のための融資制度や事業承継ファンドを使う等の資金調達手段はありますが、万全ではありません。

 また、経営者の保証で会社が銀行借入を行っている場合には、借入保証債務を従業員が引き継ぐことができるかとう問題があります。経営者に比べて担保となる資産が少ない従業員が多額の借入保証を行うのは現実的ではありません。「経営者保証に関するガイドライン」では、一定の要件を満たす場合には、既存の保証契約の解除や適切な保証金額への見直しを行うことができることになっていますが、現実にはそう簡単には保証契約の解除はできません。

(2)外部から経営者を雇い入れ

 現経営者が株式を所有したまま、外部から経営者を雇い入れで社長業を引き継ぐというものです。所有と経営を分離することになりますので、引退する経営者は、日々の事業運営を他人に任せることができます。一方で、株式は所有したままなので、最終的に株式を誰に引き継ぐのかという課題は先送りとなります。現経営者に個人資産が十分ある場合は所有と経営の分離も可能ですが、株式譲渡で老後の生活資金を確保したいという経営者にとっては解決策にはなりません。

(3)株式を第三者へ譲渡(M&A)

 M&Aは、株式を第三者へ譲渡し、会社の経営も第三者に承継する形になります。場合によっては、現経営者が株式譲渡後も一定期間、会社の経営者もしくは相談者として残り、事業の引き継ぎを行うこともあります。国内市場の成熟化に伴って、M&Aによる成長を目指す企業が増えて来ています。中小企業の買い手候補は、中小企業とは限りません。上場企業や非上場で比較的規模の大きい企業なども中小企業をターゲットにしたM&Aに取り組んでいます。

 また、買い手候補は必ずしも同業種とは限りません。買い手候補は自社の成長戦略を様々な観点から検討しています。例えば、販売会社が製造会社を買収して、自社で販売する製品を製造から手掛けることによる垂直統合を目指すケースがあります。また、自社ではノウハウをもたず外注していた機能(例:マーケティング機能、設計・開発、アプリ開発などの各種機能)をM&Aで自社に取り込んで、事業を強化するケースもあります。こういった異業種間のM&Aは、事業統合の効果(シナジー効果)が同業者同士の場合よりも高いケースが多く、買い手候補にとってより価値の高いM&Aになりますので、価格や条件面で売り手の中小企業にとっても好都合の場合があります。

 このように、現在では、M&Aの取引相手の選択肢は広がってきており、必ずしも同業者には限定せず広く買い手候補にあたることが望ましいと言えます。

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■ 事業承継支援(親族外承継、M&A)

 跡継ぎのいない中小企業の親族外承継(M&A)に際し、事前の準備、株式譲渡の方法、株価評価、交渉などのご支援をアドバイザーとして行います。

■ 事業承継支援(親族、従業員への事業承継)

 事業承継において中小企業経営者の方が抱える悩みを整理し、課題や問題点を解決するためのご支援を行います。

事業が抱える課題、後継者の育成、古参従業員の処遇、借入金の返済、株式譲渡の方法、株価評価、相続の問題、退職金と引退後の生活等々、事業承継に関わる課題は多様です。事業承継の全体プランをしっかりと事業承継計画書にまとめ手順を踏んで進めることが肝要です。

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