グローバル経営は何故うまく行かないのか(ビジョンと戦略:FSをつくる)
グローバル経営がつまづく第一のポイントは進出時に、グローバル展開の目的と戦略をよく考えずに、子会社を設立したり、合弁会社をつくってしまうケースです。 (失敗例1)コストダウン目的の海外進出 コストダウンの目的で海外に合弁で工場をつくったが、現地での人件費高騰により期待したほどコストダウン効果がでなかった。一方で品質が低下したため、日本から多数の出張者を派遣して対応にあたったため、更にコストアップ。 合弁パートナーとはさんざん揉めたあげく、合弁会社の株式を現地パートナーに二束三文で譲って撤退した。 しばらく後で現地からの噂を聞くと、現地パートナーの下でその会社は、現地向きの製品を製造・販売し、好業績をあげているという... (失敗例2)現地販売のための海外進出 日本の製品を海外展開すべく、現地に販売子会社を設立。日本人の営業マンを派遣し、現地でも営業担当を採用して営業活動をはじめた。日本とは求められる製品仕様が異なることはあらかじめ調査してわかっていたが、トップの強い意向により、軽微な仕様変更で販売できるだろうとい目論みで見切り発射の海外展開となっ

グローバル経営は何故うまく行かないのか
昨年中は事業承継、M&Aを中心にブログを書いてきましたが、年が変わりましたので、ブログテーマも一旦、衣替えして、今月は「グローバル経営」に焦点を当ててみたいと思います。 国内市場の成熟化に伴い、日本企業のグローバル化にも拍車がかかっており、近年では大企業に加えて、中堅・中小企業の海外直接投資も大幅に増加しています。経産省の統計データによると、最近では、中堅・中小企業による海外投資の増加率が、大企業を上回っています。 日本企業のグローバル化に伴い、企業の利益の多くを海外事業で稼ぐ時代になってきています。このため、海外事業の成否は企業経営に大きな影響を及ぼす状況になっています。一方で、海外M&Aの失敗による巨額の減損損失、海外子会社における不正の発覚などの経営に重大な影響を及ぼす事態や、現地とのコミュニケーションがうまくいかないといった事業運営上の悩みなど、多くの課題を抱えているのが実態です。 グローバル経営の難しさは、国内事業とは異なり、地理的な距離の遠さ、言葉・文化の違い、制度・商習慣の違い、競合環境などの事業環境の違いなど様々な要因があります。

事業デュー・ディリジェンスの進め方
12/31のブログで、サラリーマンは会社を買うべきか、というテーマをとりあげ、事業デュー・ディリジェンスは、買い手の事業責任者が行うものである、という説明をしました。外部専門家が中心となる税務や法務デュー・ディリジェンスとは異なり、事業デュー・ディリジェンスは、買い手の経営者が主体的に関わっていく必要があります。 事業デュー・ディリジェンスの目的は大きく分けると3つあります。 (1)事業内容の把握とリスク分析 事業内容を把握し、維持可能、成長可能な事業であるかどうかを見極めます。ここで重大な問題を発見した場合には、案件を中止するという判断も必要です。また、仮に中止するまでもないが、買収後に損害が発生するリスクがある場合には、株式(事業)譲渡契約書における損害賠償条項等でリスクを売り手が負担する形にします。 (2)事業計画の作成 対象会社を取り巻く市場環境、競合状況、顧客動向などを把握するとともに、買収後に経営改善できる項目を洗い出し、買収後の事業計画を作成します。また、事業価値を算定する際にも、DCF法で評価を行う場合には事業計画が必要です。 (
